はじめに
本日は、2021年7月13日に配信されたJリーグジャッジリプレイ#19で放送された事例をまとめたいと思います。
今回の「JUDGEMENT ONE POINT LESSON」のテーマは、「DOGSOのアドバンテージ」となっています。
また、事例3では、ハンドを取らなかった判定について議論していますが、エビデンスが確実に用意できない場合は、VARは介入できないという事にも触れています。
今後もJリーグジャッジリプレイを通して、サッカーのルールを学んでいきたいと思いますので、皆さんも参考にしていただければと思います。
DAZNのJリーグジャッジリプレイとは
- 毎週火曜日に更新
- 週末のJリーグで起こった事象(判定)についてSNSで反響のあったプレーをわかりやすく解説
- 司会は桑原さん、Jリーグ副理事長の原さん、Jリーグウォッチャーの平畠さんも出演
2021年7月13日配信のJリーグジャッジリプレイでの事例
- 2021 J1リーグ 第22節 ベガルタ仙台 対 北海道コンサドーレ札幌の事例
- 2021 J1リーグ 第22節 ベガルタ仙台 対 北海道コンサドーレ札幌の事例
- 2021 J1リーグ 第22節 大分トリニータ 対 浦和レッズの事例
- 2021 J3リーグ 第15節 福島ユナイテッド 対 FC今治の事例(JUDGEMENT ONE POINT LESSON)
Jリーグジャッジリプレイの映像
事例1:J1リーグ 第22節 ベガルタ仙台 対 北海道コンサドーレ札幌の事例
- 札幌のコーナーキックの場面。福森選手のコーナーキックに田中選手が落として宮澤がゴールネットを揺らした場面
- ここでVARが介入。リプレーで確認するとゴール前のポジション争いの際に、仙台の吉野選手が札幌の青木選手に接触して転倒。
- 主審はこのプレーで青木選手のファールを取り、得点は取り消しに。
- 吉野選手は青木選手に気が付かずにぶつかってしまったとも思える。
- ファールでゴール取り消しは正しかったのか
- 今回は、このシーンについて議論
平畠さんの見解
【このシーンについて】
- 自分が見た感覚ではファールじゃないのではないかなという気がします。
- 青木選手は相手を倒そうという意思とか意図があるようには見えなかった。
- 吉野選手に当たってこられたみたいな感じにはちょっと見えたので、ノーファールでゴールでよかったのではないかと思う。
【Twitterの意見】
- 青木選手が故意に相手を倒したようには見えません。むしろ相手からぶつかってきて倒れたので、ファールになったように見えました。やっぱあれってファールですか
原さんの見解
【このシーンについて】
- 仙台はワン・ツー・ワンでディフェンスをしている。
- 青木選手が吉野選手が後ろに回っていくコースをあえてつぶしている。
- これはたぶんファール。
深野さん(元国際審判員)の見解
【このシーンについて】
- ファールだと思う。
- ブロッキング。青木選手がただ立っているだけであれば別であるが、ちょっと吉野選手の方に1歩、2歩と体を寄せている。
- それが止めに行ったなと見られるプレー。
- レフリーの中では、ブロッキングがあるというふうに認識していて、VARが入ればそこは確認できるので、ファールという判断に最終的になったのだと思う。
- ヘディングをした選手がプレーに関わっており、得点に絡んだプレーであったため、ファールを取ったのだと思う。
【インプレー前のファールの場合】
- インプレーになっていないという事は、再開はコーナーキックのやり直しになる。
- 当然、注意をレフリーはすると思う。
事例2:J1リーグ 第22節 ベガルタ仙台 対 北海道コンサドーレ札幌の事例
- 仙台のチャンスの場面。真瀬選手が右サイドをえぐり最後はペナルティエリア内に入りシュート。
- これがディフェンスに当たりコーナーキックとなるが、仙台の選手はハンドをアピール。
- このあとVARが介入。リプレーで見ると真瀬選手のシュートが福森選手の左腕に当たっていたが、オンフィールドレビューを行った結果、改めてノーハンドの判定。
- 判定は変わらずコーナーキックでの再開となった。
- ノーハンドの判定は正しかったのか、今回は、このシーンについて議論
平畠さんの見解
【このハンドのシーンについて】
- 手には当たっているとは思うが、この部分がレフリーの方の裁量に任される部分になるのかなという感じがしていて、思うには、ハンドでは無いのではと思う。
- ブロックしに行っているというよりは、スライディングをしている中であのような手の動きになったのかなと思う部分と手を広げるのではなく戻している感じに見えるので、西村さんの判定が妥当なのではと思っている。
【Twitterの意見】
- 支え手では無かったし、普通に手に当たっていたしハンドかなと思ったので、是非とも取り上げてください。当たっていなければ枠内に行っていたと思うので・・・
原さんの見解
【このハンドのシーンについて】
- 手に当たったのはわかった。ただその手の位置がどこだったかが論点になるのだと思う。
- 支え手では無い、体の中に戻して不自然に大きくしないという動きがある。結果的に顔の前あたりで当たっているので、その動きが不自然に大きくしていないと判定したのだと思う。
- どっちにもとれるところではあるが、VARでPKになるとかなり仙台有利になるから良い按排だなと現場で見ていて思った。
深野さん(元国際審判員)の見解
【以前の競技規則だった場合】
- ハンドだったと思う。
- 肩より上に腕の位置があり、体から離れていてシュートブロックとなっているので、ハンドだったと思う。
【現在の新競技規則では】
- どっちの判断もする人がいるなというのが正直なところ。
- ノーハンドの場合は、体の中にいてその中で手に当たった。
- ハンドの場合は、シュートを体を投げ出してブロックに行っている。蹴られる前から手を上げてシュートブロックに行っているので、うーんと思うところが自分の中にあって、私はハンドの反則だなと今は思っている。
- シュートとクロスは少し違うと新競技規則にはあるが、以前に熊谷選手がワールドカップでシュートブロックをしたあのイメージ。
- シュートブロックに行く手が広がっていて、バリアになっていた。それはすごく大きいリスクだと思うしシュートが来るのがわかっていて体をなげ出してブロックに行っているので、ハンドでは無いかなと思った。
- JFAから提供している映像の中で、明確にノーハンドとなっている中で壁の中のがあるがボールが顔付近に来て手で守るような場合があり蹴られた後に手が顔付近に行っている。
- 今回は、蹴られる前に手が上がって行っているので、リスクがあるなと感じている。
事例3:J1リーグ 第22節 大分トリニータ 対 浦和レッズの事例
- 大分のチャンスの場面。小林選手が中に折り返すと明本選手に当たりこぼれるがシュートを決めきれなかった決めきれなかった。ここで町田選手はハンドをアピール
- リプレーで見ると小林選手のクロスは明本選手の右腕に当たっているが、主審はハンドを取らずVARの介入も無かった。
- ノーハンドの判定は妥当だったのか。このシーンについて議論。
平畠さんの見解
【このハンドの判定について】
- この映像を見る限りでは、ハンドを取られても仕方が無いのかなというようにも見えたし、大分側からするとハンドでしょと言いたくなるシーンかなと思った。
- 見てて思ったが、槙野選手はすごく手を後ろに回している。明本選手はその後ろにいる。
- シュートの時もそうだと思うが、ボールに一番近い人は、手を後ろに回していると思うが、2次的な人は手をボールの後ろに回す人はあんまりいないと思う。
- そのあたりも気を付けていかないといけないのかなとすごい難しいなという感じはしたが、見ている限りではハンドになる可能性もあるかなと思いました。
【Twitterの意見】
- 大分対浦和の例のハンド疑惑をお願いします。明らかに手に触れていますがどのような解釈になるのか、高校の先輩である深野さんに解説をお願いします。
原さんの見解
【この判定について】
- まあ、色々あるけれども普通はハンドを取られるんだろうねという感じには思う。
- 明本選手から見ると槙野選手のかげから急に来たから手に当たってしまったのだと思う。
- 後ろには誰もいないが、ハンドを取られても仕方が無いと思う。
- 町田選手が決めていれば問題ないところでもあるので、主審はそれも見て、ハンドというよりはプレーをさせた感じのところもあるのではと思う。
深野さん(元国際審判員)の見解
【この判定について】
- 白黒つけるのは難しいなと思っていて、実はまだ迷っているところがある。
- 映像を見たときに判断をするがそれを見てもわからないときは、VAR含めどのような工程で判断をしたのか導き出すようにしている。
- 明本選手の腕がどれだけ広がっていたのか、自然な動きの中の一連の動きであったのか、槙野選手にボールが当たって軌道が変わったのかとかその辺が全部明確でない。
- すべてが明確でない。そう考えると何とも言えないので、主審をサポートするという事になるが、自分の判断を求められるのであれば、ハンド。
- 疑わしきは罰せずという言葉もあり、映像のエビデンスが無いのであれば、なんとも言えないというのが正直なところ。
- たぶん槙野選手に当たってコースが変わったと思う。コースが変わったのであればおっとっとの手になるので、どうかなと
- 2次的な方は、手を組まないしそこまで求めないので、主審の妥当性という事であれば、ハンドじゃなくしたんだなと思う。
- もし、槙野選手に当たっていたのであれば、ハンドでないという判断で良いと思う。
- そのまま、槙野選手に当たっていないのであれば、ハンドで仕方が無いと思う。
【エビデンスが確実に用意できない場合】
- VARは、エビデンスが確実に用意できない場合は、介入できないので、レフリーの判断をサポートするという事なる。
JUDGEMENT ONE POINT LESSON
- 競技規則や判定において知っておきたいルールを取り上げて解説していくコーナー
- 今回のテーマは、「DOGSOのアドバンテージ」
J3リーグ 第15節 福島ユナイテッド 対 FC今治の事例
- 福島の攻撃の場面。ロングフィードは一度キーパーの修行選手がキャッチするが、スローをイスマイラ選手がカット。
- 修行選手は手を使って止めようとするが、イスマイラ選手がそれを振り切りゴール。
- 終了間際の追加点となった。
深野さん(元国際審判員)の見解
【DOGSOのアドバンテージについて】
- 警告や退場でもアドバンテージがあった場合は、プレーを続けさせて、アウトオブプレーになった時に、DOGSOの場合は、一段落ちてイエローカード。
- 反スポだったらノーカードになる。
- DOGSOやSPAは下がるが、著しく不正なプレーや悪質な質を問われるファールはそのまま残る。
- タクティカルファールだけが一段下がる。
【ゴールが入らなかった場合の解説】
- 一度チャンスをものにしてその後のプレーまでは保証しない(ゴールが入ろうが、入るまいが)
平畠さんの見解
【ゴールが入らなかった場合どうなるかと思うか】
- そのままプレーを続けさせたという事で、アドバンテージは適用されるので、シュートが外れたとしてもイエローカードのままだと思う。
まとめ
今回は、2021年7月13日に配信されたJリーグジャッジリプレイ#19の事象についてまとめてみました。
VARにも関わらず、映像でもエビデンスが確実に用意できない場合があるという事は、少し驚きました。また、その場合は、VARは介入できないという事にも驚きがありました。
映像であっても確実に判断が出来ないという事があるという事になりますね。
VARも今後、テクノロジーの進化によって変わっていくこともあるかもしれません。まだまだ可能性があることを感じ、少し楽しみでもあります。
最後まで内容を確認して頂き、ありがとうございます。
これからも判定については、海外での判定含め色々な議論になると思いますが、今後も、ジャッジリプレイを拝見しながら勉強していきたいと思います。
参考:本日の用語について
VARについて
VARについては、下記ページにまとめておりますので、参考にしてください。
関連記事:2021シーズンVAR導入内容について
DOGSOについて
DOGSOについては、下記ページにまとめておりますので、参考にしてください。
DOGSOとSPAのアドバンテージ
- 反則が相手チームの決定的得点の機会を阻止するものであった場合(DOGSO)、競技者は、反スポーツ的行為で警告され、反則が大きなチャンスとなる攻撃を妨害または阻止したものであった場合(SPA)、警告されない。