はじめに
2022シーズンもジャッジリプレイは継続。
本日は、2022年3月22日に配信された2022シーズン Jリーグジャッジリプレイ#05で放送された事例をまとめたいと思います。
今回の事例は、J1リーグ第5節とJ2リーグ第5節、J3リーグ第2節の中から、合計4事例紹介されています。
今後もJリーグジャッジリプレイを通して、サッカーのルールを学んでいきたいと思いますので、皆さんも参考にしていただければと思います。
DAZNのJリーグジャッジリプレイとは
- 毎週火曜日に更新
- 週末のJリーグで起こった事象(判定)についてSNSで反響のあったプレーをわかりやすく解説
- 司会は桑原さん、元Jリーグ副理事長の原さん、Jリーグウォッチャーの平畠さんも出演
2022シーズン Jリーグジャッジリプレイ#05の事例
- 2022 J1リーグ 第5節 浦和 対 磐田の事例
- 2022 J3リーグ 第2節 沼津 対 福島の事例
- 2022 J2リーグ 第5節 新潟 対 甲府の事例
- 2022 J2リーグ 第5節 山形 対 仙台の事例
Jリーグジャッジリプレイの映像
事例1:J1リーグ 第5節 浦和 対 磐田の事例
- 関根選手がドリブルからスルーパス。このボールをユンカー選手が落として伊藤選手が詰めたところでホイッスル
- 主審は大井選手のハンドを取って浦和にPKを与えた。
- リプレーで見るとシュートブロックに行っていた大井選手の左手に当たっていたが、支え手のようにも感じられる。
- VARの介入も無くPKの判定のままだった。
- この判定は妥当だったのか議論
平畠さんの見解
【この判定について】
- 中村主審がすごくいいところで見ていたなぁという印象
- 手に当たった所を支え手云々は抜きにしても良いところで見ていたと思う。
- 僕の感覚でいうとPKになってしまうという感じがした。
- 支えながらも動いていて、印象的に最後に腕が上がるので、ボールの進行を止める感じに見えるのかな、印象的にですけれども
- PK取られても仕方が無いと思った。
- 動きの中で当たっているので、カードはいらないと思う。
【Twitterの意見】
- 大井選手も抗議していましたが、ボールが当たった手は支え手ではないでしょうか?支えきれず崩れてしまってますが、ほかに手を置ける場所はなかったと思います。
原さんの見解
【この判定について】
- 確かに支え手。一方で大井選手の動きだけ見ているとGKみたいな動きをしている。
- 手も意図してバリアの一つのような、支え手ではあるが、手が動いているのでPK取られてしまうと思う。
- カードはどちらともいえるぐらいだと思う。
家本さん(元国際審判員)の見解
【この判定について】
- 実は競技規則の文言が変わっている。
- 2019/20の競技規則には、体を支える手が横とか縦とかに伸びていた場合は、ハンドリングオフェンスの反則であると書いてある。
- 2021/22の競技規則では、そこが外れる。支え手かどうかは判断の指針にならない。
- ここはおおきなポイントなので、理解しておいた方がいい。
- 今の文言で言うと、手や腕を不自然に大きくしたことが、正当なのかどうなのかで判断された場合は、ハンドリングオフェンスになる。
- 支え手ではあるが、結果的に体から大きく手が離れて流れていて、GKのセービングみたいな形に結果的になってしまっている。
- 大井選手にはその意図はないけれども、結果的に体がそういう状況になってしまっていることで、2019/20の競技規則と照らし合わせてたとしてもハンドリングオフェンスになってしまうと思う。
- その文言が取れて今現行の2021/22の競技規則を見たとしても不自然に大きくした、正当性はないように判断されてしまうという事は十分理解される。
- フリーキックでカードに値しないと判断できる。
4名のいえぽんボード図
事例2:J3リーグ 第2節 沼津 対 福島の事例
- 福島のコーナーキックの場面。助走から樋口選手が蹴るとその瞬間にホイッスル。
- ポジション争いの中でファールがあったとして大迫選手にイエローカードを提示。福島にPKを与えた。
- リプレーで見ると大迫選手が雪江選手を倒したように見えるがコーナーキックからのボールを最後は堂鼻選手がゴールに押し込んでいたためそのままアドバンテージをとっても良かったように感じられる。
- この判定は妥当だったのか議論
平畠さんの見解
【この判定について】
- 雪江選手が大迫選手の前に入っていて、手で引っ張っているようにも見えるので、ファールだとは思う。
- ゴール前の密集でアドバンテージを取る事は、あのファーサイドの選手がフリーでシュートが打てると認識していないとアドバンテージは取れないと思う。
- ゴール前のあの密集で判断できるかなというのもあるし、シュートを打っているのもあるが、笛によって選手も足を止めているところもあるので、ゴールになったという考え方もできる。
- アドバンテージを取るのは難しいと思うので、この判断でよかったと思う。
【Twitterの意見】
- 審判の笛が鳴っていましたがプレーの流れから福島の選手がゴールにいれていました。笛を吹かず流してゴールを認めてイエローの提示でよかったのではないでしょうか?
原さんの見解
【この判定について】
- これはペナルティ、イエローカードはそうだと思う。
- アドバンテージを取れたかについては、これでは取れないと思う。
- 例えば、キーパーと一対一になってキーパーがファールしたけどPKとろうとしたけれども誰かが来てたから流したとかは取りやすいと思う。
- これは、審判も早めに笛を吹いているのでプレーをやめているので、流したら絶対入ったかというとそういうシーンではないからアドバンテージは取れないと思う。
家本さん(元国際審判員)の見解
【この判定について】
- 反則は間違いがない。ちょっと気になったのは左足が崩れていく
- この行為に対して十分にイエローカードに値するとは思うけれども、ボールに行く軌道に対して少し距離が遠いので、100%イエローカードが必要とは判断しない。
- アドバンテージについては、笛がまずちょっと早い。早すぎたかという論点でいうとほぼ大丈夫な状況ではあるし、その後のフリーがどうこうという状況では無いので、そもそもレフリーとしてはアドバンテージを考える必要性が低い状況ではある。
- 結果的にボールがゴールに蹴りこまれる状況ではあったが、笛によって沼津の選手がプレーをやめてしまったが故に入ってしまった要素が強く感じるので、吹いていなかったら入る要素が低かったと思うので、選択肢としてはあっては良いと思うが、大分低いと思う。
4名のいえぽんボード図
事例3:J2リーグ 第5節 新潟 対 甲府の事例(家本さんピックアップ)
【11分のプレー】
- 新潟のチャンス。ペナルティエリア内で伊藤選手が倒れたところで笛が吹かれファールかと思ったが、伊藤選手のシュミレーションとジャッジ。
- リプレーで見ても野澤選手の足はかかっておらず、伊藤選手にイエローカードが提示された。
【90分のプレー】
- 関口選手のパスに長谷川選手が走りこむと倒れたところでホイッスル。この場面でも攻撃側のシュミレーションとして長谷川選手にイエローカードを提示
- リプレーで見ても千葉選手の足は長谷川選手にかかっておらずナイスジャッジとなった。
平畠さんの見解
【このナイスジャッジの判定について】
- 最初の伊藤選手のプレーは普通に見ていてPKかなと思った。野澤選手がスピードを持って行っていたので、その瞬間に足がかかったのかなと思ったけれども、スロー観たら確かになと思ったのですごいなと思った。
原さんの見解
【このナイスジャッジの判定について】
- すごいと思う。
- 初め見たときはPKというシチュエーション。近くで見ていたのがすごいと思う。
家本さん(元国際審判員)の見解
【このナイスジャッジの判定について】
- 本当によかったのがまずポジション。レフリーのポジションが素晴らしく良かった。
- ポジションがすべて、この見極めについては。
- この場合、何を見ているかというと、レフリーの中にはどちらかにフォーカスを当ててみているというレフリーはいる。アタッカー側なのかディフェンス側なのか
- 仮に右足でボールをつついた後に守備の選手がコンタクトがあったとする。
- これまた難しい。理由はボールにプレーをできない状態で相手にコンタクトしたのは事実なので、ただ、コンタクトを甲府の選手が起こしたともいえるし、新潟の選手が右足を残したからこそコンタクトしてしまったとも見える。
- その場合は、ノーファールになる。
- 映像を見る限りコンタクトは無いし、コンタクトがあれば新潟の選手が多少リアクトすると思うので、コンタクトはなかったのだと思う。
- トータルで見てもスーパージャッジだったと思う。
- 90分のプレーは、このエリアはレフリーの泣き所。すごく難しい。
- これも素晴らしく良いポジションにいて、千葉選手が左足を出して止める。そこに同じように甲府の選手がボールをつついた後に左足を残して転ぶ。
- こういうシーンは良く見る。
- レフリーは、アタッカーがボールをつついた後の残した足が自然に前に行こうとしているのか、残したまま倒れようとしているのか、そこは見ている。
- そこにコンタクトがある、ないを見ている。
- 常に両方見ている。両方の足の動き方を総合的に判断して見極めたうえでアタッカーが誘っている動き(足を残すという事は誘っている)にしか見えないので、両方ともイエローカードは妥当だと思う。
- 本当にこの判定はむちゃくちゃ難しい。
事例4:J2リーグ 第5節 山形 対 仙台の事例
- 國分選手のバックパスがミスとなり遠藤選手にわたる。
- 遠藤選手に渡った時に対応に行った木村選手と接触したところでホイッスル
- 主審はDOGSOと判断し木村選手にレッドカードを提示
- この接触をファールと判定するには厳しいようにも思える。
- DOGSOで一発退場の判定が妥当だったのか議論
平畠さんの見解
【DOGSOの判定について】
- バックパスが相手に渡ったという事で、守備側も意外なシチュエーションからの動きになったのかなというをすごく感じた。
- ファールはファールかなと思っている。
- 決定的な阻止というところになるのかなと
- これは普通のファールでいいんじゃないかなと思った
- なんでこういうことを言うかとめちゃくちゃいい試合だったから11人対11人で見たかった。
【Twitterコメント】
- 山見選手へのファールはPKか否かの判定だからVARの介入は理解できたんだけど、パトリックのハンドをなんでVARで判断したの?加入できないはずでは?
原さんの見解
【DOGSOの判定について】
- 役者は遠藤選手のほうが一枚上。
- きた瞬間に遠藤選手が誘っている。
- これをDOGSOにするのかというと要件のボールをコントロールしているけれども決定的かというシーンで分かれると思う。
- DOGSOにしなくていいかなという気がするので、イエローでフリーキックかなと思う。
家本さん(元国際審判員)の見解
【DOGSOの判定について】
- 今まで出てきた中で比べると真っ赤ではない。
- フリーキックかどうかはトリッピングと思うので間違いない
- SPAかどうかはSPAは間違いない。
- トータル的な印象はどちらかと言えばレッドカード
- 人数はあまりいない。位置関係もボールと距離が近いので問題ない。
- 方向もボール方向に向かっているので間違いない。ゴールとの距離も近いので間違いない。
- 可能性をどう見るか。ややトラップが大きい。こぼれたセカンドボールをキーパーが行ける可能性と遠藤選手の次のリアクションを考えると100%にはならないなと
- 印象としては、60~70%ぐらいなので、どちらかと言えばレッドカードは致し方ない。主審の判断は理解できる。
- このシーンとは関係ないが、レッドカードの提示の仕方をレフリーがもう少し気をつかえば違った関係性(選手との)になったのではとは思う。
4名のいえぽんボード図
まとめ
今回は、2022シーズンJリーグジャッジリプレイ#05の内容についてまとめてみました。
ハンドの支え手についての表記が2021/22の競技規則では無くなっている様です。支え手については考えを改める必要がありますね。
今週はナイスジャッジの紹介もありました。かなり難しい判定を正確に判定できているのは素晴らしいと思います。
今後もナイスジャッジについても解説してほしいと思います。
これからも、いろいろな見解や議論があると思いますが、今後もジャッジリプレイを拝見しながら勉強していきたいと思います。
最後まで内容を確認して頂き、ありがとうございます。
参考:本日の用語について
2019/20 競技規則 ハンドの反則【抜粋】
- 次のようにボールが競技者の手や腕に触れた場合は、反則ではない
- 競技者が倒れ、体を支えるための手や腕が体と地面の間にある。
- ただし、体から横または縦方向に延ばされていない。
- ※20/21シーズンの競技規則も同様
2021/22 競技規則 ハンドの反則【抜粋】
- 競技者が次の事を行った場合、反則となる。
- 手や腕で体を不自然に大きくして、手や腕でボールに触れる。
- 手や腕の位置が、その状況における競技者の体の動きによるものではなく、また、競技者の体の動きから正当ではないと判断された場合、競技者は、不自然に体を大きくしたとみなされる。
DOGSOとは?
DOGSOについては、下記ページにまとめておりますので、参考にしてください。
SPA(スパ)とは?
- STOPPING A PROMISING ATTACKの略
- 相手の大きなチャンスとなる攻撃を阻止する事