はじめに
本日は、2021年6月22日に配信されたJリーグジャッジリプレイ#16で放送された事例をまとめたいと思います。
今回の「JUDGEMENT ONE POINT LESSON」のテーマは、「競技規則改正にともなう攻撃側のハンド」となっています。
今後もJリーグジャッジリプレイを通して、サッカーのルールを学んでいきたいと思いますので、皆さんも参考にしていただければと思います。
DAZNのJリーグジャッジリプレイとは
- 毎週火曜日に更新
- 週末のJリーグで起こった事象(判定)についてSNSで反響のあったプレーをわかりやすく解説
- 司会は桑原さん、Jリーグ副理事長の原さん、Jリーグウォッチャーの平畠さんも出演
2021年6月22日配信のJリーグジャッジリプレイでの事例
- 2021 J1リーグ 第18節 鹿島アントラーズ 対 ベガルタ仙台の事例
- 2021 J1リーグ 第18節 アビスパ福岡 対 ヴィッセル神戸の事例
- 2021 J1リーグ 第10節 北海道コンサドーレ札幌 対 横浜F・マリノスの事例(JUDGEMENT ONE POINT LESSON)
Jリーグジャッジリプレイの映像
事例1:J1リーグ 第18節 鹿島アントラーズ 対 ベガルタ仙台の事例
- 追加タイムが5分と表示される中、すでに6分を超えた時間帯での鹿島のコーナーキック。
- ヘディングシュートがストイシッチ選手にクリアされとさらに逆サイドからのコーナーキック。
- クリアボールを拾ったファンアラーノ選手がクロス。これがこのままゴールに吸い込まれ終了間際に劇的な同点ゴールとなったが時間は、96分45秒を超えていた。
- 後半アディショナルタイム中に仙台の選手交代、選手負傷により試合が止まっていた場面もあったが、それにしてもアディショナルタイムが長すぎたのではないかとのコメントが寄せられていた。
- 今回は、このプレーについて議論
平畠さんの見解
【アディショナルタイムの長さについて】
- 鹿島の猛攻を粘り強く守っていただけに、さらにその気持ちが強くなるのはすごいわかる。でも鹿島のホームでコーナーが続いている中で、終わりにするのは難しいと感じながら見ていた。
- アディショナルタイムが長いとは思ったが、長すぎるという事は、人によっては変わってくるのではと感じた。
【Twitterの意見】
- アディショナルタイムについて目安の5分から大幅に伸びていませんか、明らかに仙台が遅延しているようには見えません。鹿島の劇的なゴールではありますが、仙台側からしたら腑に落ちないと思います。なぜ、このようなことが起きたのでしょうか
原さんの見解
【アディショナルタイムの長さについて】
- 確かに長く仙台の方は思うと思うが、仙台側の選手交代もあったし、加藤選手が負傷して倒れていて時間がかかった。
- たぶん、あそこでドーンとクリアしていたら終わりにしようとしていたところ、コーナーだし、主審もわかっていながらコントロールしていたように見えた。
- 最後の面白さだとは思うが、仙台は怒ると思った。
深野さん(FIFA・AFC・JFA審判インストラクター)の見解
【アディショナルタイムの時間の考え方について】
- アディショナルタイムは、目安であるという事。目安なので最低限のものを示すとなっている。
- 5分30秒だとレフリーは思ったかもしれないが、そういう時は、5分としか出せない。
- アディショナルタイム中のアディショナルもあるという事。
- 競技規則にも空費された時間の追加という記載がある。例えば、交代、負傷した選手の判断。まさに今回のケースに当てはまる。
- プラスして、ゴールキーパーの遅延行為に対するイエローカードも出た。これも空費された時間に加算される。
- そうすると、あの範囲の時間帯であると感じた。
- 遅延行為をしたという事は、それだけ空費された時間があるという事なので、伸ばしたという事にもなる。
- 交代で、20~30秒、負傷の確認で40~50秒、イエローカードの一連で、30秒~40秒。それを足し合わせると1分30秒以上にはなっている。
【アディショナルタイムの加算について】
- 競技規則に書いてあることもそうであるが、その中に、空費された時間の浪費と書いてあり、この言葉にどれだけ入れるという事になるが、すごく厳密に計算されるという事では無いが、ある程度の基準はありながら、その前後のところは、どうかなと
- 例えば、5-0の試合でアディショナルタイムの加算を行うかというとそうでは無いと思う。その辺は、コモンセンスであると思う。
- そういう意味では、同点であるときなどは、レフリーは、アディショナルタイムに繊細にならざるおえない。
事例2:J1リーグ 第18節 アビスパ福岡 対 ヴィッセル神戸の事例
- 神戸の攻撃の場面。ペナルティエリア等でボールを回し、酒井選手がクロスを上げたところで、ハンドの判定となり神戸にPKが与えられた。
- リプレーで確認すると、杉本選手の右手に当たっていたがハンドでPKの判定が正しかったのか
- 今回は、このプレーについて議論
平畠さんの見解
【このハンドのシーンについて】
- これは、ハンドは、致し方がないと感じた。
- 新規則と照らし合わせてどうなるかというのは、自分の中でどうなんだろうというのはすごく感じた。
【Twitterの意見】
- 杉本選手のハンドは、不自然だったとみなされたのでしょうか。あのスピードで右手を体につけたままスライディングするのは不可能だったような気もしますが。新競技規則とあわせて取り上げてほしいです。
原さんの見解
【このハンドのシーンについて】
- 現地で見ていたら、当たっちゃったという感じがした。
- 支え手に当たっていたら違うと思う、あの手は、あの位上がってしまうのは、ハンドを取られても仕方が無いと思った。
深野さん(FIFA・AFC・JFA審判インストラクター)の見解
【新競技規則に基づいての見解】
- これは、ハンド、PKで良いと思う。
- SPAでもなく、ノーカード。
- 競技規則がかわってもこのエリアは変わっていない。同じ判断で大丈夫だと思う。
- 肩よりも高い位置に手があって、いわゆる不自然な位置に手があって、ボールがあそこにくることは予測がついているわけであるので、予測がついているところに手を大きく広げているので、進行方向に手をだして進行を妨げたということになる。
【新競技規則に変わったことによる審判への影響について】
- 個人的には、より整理されたと思った。
- 妥当性という言葉も出てきていて、手の動きが、手の位置が妥当であるかということを自分に問える。
- 今までは、これはハンドにしますかというのも取らざるをえなかったのでつらかったが、整理されてよかったと思った。
- 変な変更では無かった。というふうに判断した。
JUDGEMENT ONE POINT LESSON
- 競技規則や判定において知っておきたいルールを取り上げて解説していくコーナー
- 今回のテーマは、「競技規則改正にともなう攻撃側のハンド」
- 2021-2022 サッカー競技規則改正 適用開始日:6月19日(土)(明治安田生命J1・J2・J3リーグ)
事例3:J1リーグ 第10節 北海道コンサドーレ札幌 対 横浜F・マリノスの事例
- マリノスの攻撃の場面。左サイドを抜け出したティーラトン選手のクロスにエウベル選手がヘディングで合わせてゴールとなった場面。
- ここで、VARが介入。リプレーで見るとティーラトン選手がキムミンテ選手をかわした後に、ボールが左腕に当たっており、「オンフィールドレビュー」の結果、ハンドでゴールは取り消しとなった。
平畠さんの見解
【新しい競技規則ではハンドとなるか】
- 手で叩き落とそうというような感じには見られないので、ハンドでは無くなるのでは、
原さんの見解
【新しい競技規則ではハンドとなるか】
- ゴールになる。
- その時だって、ゴールで良いとずっと思っていた。
- 相手競技者に当たってから、直後に手に当たっているので、今のルールであればゴールで良いと思う。
深野さん(FIFA・AFC・JFA審判インストラクター)の解説
【新しい競技規則ではハンドとなるか】
- ノーハンドでゴールとなる。
- 得点の機会を作り出すというところに当てはまっていたところになり、競技規則が変わってよかったと思える。
- たまたま偶発的に当たったボールまで、ハンドにしなければならないつらさはあったので、改正されてよかったと思う。
まとめ
今回は、2021年6月22日に配信されたJリーグジャッジリプレイ#16の事象についてまとめてみました。
今回の解説でハンドの判定内容について、少し理解が深まったように思えました。
今回の改定では、ハンドの判定について、審判の判断でハンドの判定を決めることが出来るようになったと理解しました。
判定する側にとって良い方向に改善されたのは、良いのではと感じています。
ただ、審判の判断になりますので、個人の感覚的な部分も出てくると思います。まだまだ、ハンドの判定については、競技規則が変わっても議論が尽きないと思います。
今後も、ジャッジリプレイを拝見しながら勉強していきたいと思います。
参考:本日の用語について
第7条 3.空費された時間の追加
- 第4の審判員は、前半、後半の最後に主審によって決定された最小限のアディショナルタイムを表示する。
- 主審は、アディショナルタイムを増やすことはできるが、減らすことはできない。
第12条 ファウルと不正行為 ボールを手または腕で扱う【抜粋】
- 競技者の手や腕にボールが触れることのすべてが反則にならない。
- 手や腕の位置が、その状況における競技者の体の動きによるものでは無く、また、競技者の体の動きから正当でないと判断された場合、競技者は不自然に体を大きくしたとみなされる。