はじめに
先日行われた東京オリンピックのアジア予選でもVAR判定について少し議論がされていたと思います。
2019年のシーズンでは、ルヴァンカップ プライムステージ 全13試合(準々決勝、準決勝、決勝)とJ1参入プレーオフ1試合(決定戦)の試合のみVARが導入されていましたが、2020年シーズンからJ1すべての試合において、VAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)が導入されます。
柏レイソルもJ1に復帰したこともあり、全く無視することはできないルール変更になりますので、VARについて少しまとめてみたいと思います。
【2020シーズンVAR導入試合:全321試合】
・明治安田生命J1リーグ(306試合)
・富士ゼロックス・スーパーカップ(1試合)
・ルヴァンカップ プライムステージ(13試合)
・J1参入プレーオフ決定戦(1試合)
VARについて
VARとは?
・ビデオアシスタントレフェリーの略称。
・別の場所で映像を見ながらフィールドの審判員をサポートする審判員。
VARの導入目的と効果は?
・審判の判定のうち、試合結果に影響を与える「明白で明らかな誤り」について、VAR導入試合においては限りなくゼロに近づく
・選手による乱暴な行為や審判に対する暴言等が減りよりフェアでクリーンなプレーが期待できる
VARの哲学は?
「最小限の干渉で最大の利益を得る」こと
・VARはすべての事象に介入するわけではなく、役割はあくまでもフィールドの審判員のサポート
・VARは、「はっきりとした明白な間違い」をなくすためのシステム。
・VARを担当する審判員が自身に問うことは、「その判定が正しかったのか?」ではなく、「その判定ははっきりとした明白な間違いであったのか?」
・「その判定は明らかに間違っている」と思う以外は、VARがその事象に介入することはない。
どんなときにVARが介入するか?
・「得点かどうか」
・「PKかどうか」
・「退場かどうか」
・「退場や警告の人違いかどうか」
4つの「はっきりとした明白な間違い」の時、もしくは「主審が確認できなかった重大な事象」にのみに介入
VARの利用手順
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STEP1対象となる、また対象となりうる事象が起こる
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STEP2VARが事象をチェックしていることを主審に伝える。その間、主審は耳に手を当てるシグナル
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STEP3VARチェック結果を主審にフィードバック・「はっきりとした明白な間違い」でないのであれば、VARは主審にチェックが完了したことを伝える。
・VARがレビューが必要だと判断した場合は、主審にレビューすることを提案 -
STEP4主審は、TVシグナルをして、VARオンリーレビュー(VARの助言だけ)、もしくはフィールドの外に設置されたレフェリーレビューエリアまで行き、オンフィールドレビュー(OFR:映像を確認)をする。【VARオンリーレビュー】
映像から事実として確認できる事象に対して使用する。【オンフィールドレビュー(OFR)】
主観的な判断が必要となる事象に対して使用する。
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STEP5映像を確認後、主審は最終判断をして、ピッチ上で再度TVシグナルをした後、その判断を伝える。※オンフィールドレビューをしたからといって、必ずしも判定が変わるものではない。
※引用元:jfa.jp
参考の映像
こちらの映像は、「Jリーグジャッジリプレイ番外編」となります。ルヴァンカップ決勝のVAR判定についてわかりやすく解説していますので、是非参考にしてください。
なぜ、その判定をしたのか、国際主審として活躍した扇谷健司さんが審判の立場で解説しています。
【Jリーグジャッジリプレイ番外編】ルヴァンカップ決勝VAR大特集(前編)
【Jリーグジャッジリプレイ番外編】ルヴァンカップ決勝VAR大特集(後編)
VAR導入のために。審判員が行っているトレーニングの映像
VARについて思う事
VAR導入に伴い、今まで見てきたサッカーと少し変わってくる。特にディフェンスは、1対1における守備の方法を見直す必要が出てくるはず。
今まではノーファールであった守備もVARによりファールの判定になる事が想定できる。
VARの判定については、納得できるところ、できないところ、色々議論が沸き起こる事柄だとは思うが、VAR導入は良いことだと思う。
審判の判定に対しては、今現在でも納得できるところ、できないところは発生しているし、これからも判定に対する議論はなくなることはない。
導入してみて色々とあると思うが、少しずつ改善もしていくはず。
一番良いと思うのは、主審、副審だけではなく、映像というプラスの観点からプレーに関する判定を行うことができるようになるのは、現状より正確に判定ができる様になる。
懸念は、間違った使い方を審判がしてしまう事。
哲学がしっかりしているので大丈夫だとは思うが、VARを使用した場合、すべての判定が覆ってしまう様な事にはなってほしくない。
あくまでもVARは、「最小限の干渉で最大の利益を得る」ことであり、最終判断は主審がすることを忘れず運用をしてほしい。
VARを使用する審判の皆さんには、VARの哲学を忘れず運用してしていただくことを期待します。
まとめ
今回は、VAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)についてまとめてみました。
VARが介入する4つのポイントだけでも覚えておくとサッカー観戦の時に役立つかもしれません
・「得点かどうか」
・「PKかどうか
・「退場かどうか」
・「退場や警告の人違いかどうか
また、参考映像にもありましたが、VAR導入により、DOGSO(ドグソ:決定的な得点の機会の阻止)となる判定も多くなると思います。
重要な判定基準ですので、今度はDOGSO(ドグソ:決定的な得点の機会の阻止)についてもまとめてみたいと思います。